モーテンソンだより(その19: 6/14)

6月14日(火)

スケジュール表による今日の予定

  • 7:45 am / Meet at Illini Tower for departure
  • 8:00 am / Transportation to Bloomington-Normai, Illinois
  • 9:00 am / Visit to Illinois State University
  • 12:00 - 1:00 pm / Lunch in Bloomington-Normal
  • 1:00 - 4:00 pm / Visit to Bloomington Public Library
  • 4:00 pm / Trip back to Champaign

ただし、これとは別資料として、イリノイ州立大学については訪問の直前に詳細なスケジュール表が配られていた。

  • 9:00 am / Arrival at Milner Library - Review the morning's schedule
  • 9:15 - 10:00 am / Meet with Information Use & Fluency and Reference
  • 10:30 - 10:45 am / Break
  • 10:45 - 11:25 am / Tour of the Library
  • 11:30 - Noon / Meet with PR/Marketing Unit
  • Noon / Lunch at the Bone Student Center

今日は1日図書館を見学する日である。しかしながら、昨日スーザンから出されたアサイメントのことが頭から離れない。今日の夜までに、援助金獲得計画の概略をまとめて報告しなくてはならないのだ。車に乗ってすぐ資料を読み始めるが、結局眠くなってそれもやめてしまった。

運転はいつものJB。みんなもう慣れたものだ。私は例によってどの方角に運ばれているのか全く分からないまま、いつしか眠ってしまっていた。1時間ほどのち、最初の目的地であるイリノイ州立大学に到着した。少し雨が降っていた。

JBは礼儀正しい人だ。みんなが降りるときに"Thank you"というと、ひとりひとりに"You're welcome"と返してくれる。無駄なことは言わないが、信頼でき、仕事をきちんとする人という印象だ。

さて、イリノイ州立大学図書館では、私たちの訪問に合わせて細かいスケジュールを組んでくれており、それにそっていろいろな部門の人から説明を受け、それから図書館を見学した。ありがたいことだと思う。

説明の中では、
・利用する資料は、印刷体から電子にシフトしている。(デバイスiPad, Kindleらしい。その後の見学の中で、リザーブブックの形態が相当電子書籍に移行したという話が出て、さもありなん、という感じだった)
・ウェブ・ディスカバリー・サービスは導入済み(某社)。
・ユーザ・インストラクションとして、Eラーニングを活用している。
というあたりが印象に残った。

さて見学である。
私たちが入ったところにいきなり大きなステンドグラスがあった。

しかし、その後ろのガラスにプリントしてあった文字に目が行ってしまった。

そこにはこう書かれていたのである。

"We are here to help you find your way. We are here. We are your library."

図書館からユーザに自らの思いや姿勢を伝えるというのは難しい。気恥ずかしさもある。それをこんなかたちで表現しているとは。センスの良さに感心した。

また、図書館内を歩くと、例のALAの"READ"ポスターのオンパレードである。いったい何枚貼ってあったのだろう。これほど徹底しているところは見たことがない。


回った中では修復部門が印象に残った。2人のスタッフがいて、補修に関する具体的な説明をしてくれた。補修材のひとつに"Japan Tissue"というのが出てきて、なんだろうと思ってみてみたが、要は「和紙」と言っていいものだろうと思う。へえ、日本の紙はこうしたところでも使われているのかと、ちょっとうれしくなる。

エジプトの2人には修復した本をプレスしておく機械が珍しかったようで、実演してくれと頼んでいた。


またどうしても目が行ってしまうのが、利用者への注意的事項の働きかけ方である。また写真を撮ってしまった。


図書館長も交えて昼食をとり、次の訪問先に移動した。



そこはブルーミントン公共図書館である。

ちょっとここはすごすぎるくらいすごい図書館だった。全体像を説明することはとてもできないので、部分部分で書きとめとくべきことをまとまりなく書いておく。

まず、説明に立ってくれたスタッフがともかく明るく元気なのである。とりわけ、児童担当(だと思う)の女性スタッフは、よどみなく、この図書館の児童サービスの状況を語ってくれた。
こうした状況に接するだけで、その図書館の活気に触れる思いがして印象が良くなる。

その児童サービスでは、なんといっても児童のためのスペース(「コーナー」などというような代物ではない)が恐ろしく広いのである。


子どもが喜ぶキャラクターなどをそこかしこに置いてある。


また、子ども用のコンピュータが何台も置かれており、ゲームができたりもする。



説明に立ってくれた2人の児童担当(という呼称が正しいのかどうかわからない)は熱心にサービスの状況をしてくれ、ちょうど夏の読書イベントをやっているのだと言って、そのことも説明してくれた。

一方、大人スペースのほう。これもいろいろな工夫があって楽しかった。
なによりも、書架の上や空いているスペースを使った、図書館からのメッセージの伝え方、また伝えようとする意志である。

さまざまなところにパンフレット、あるいはもっと小さな一枚ものの資料が置いてある。


サービスデスクは、1階は出入り口付近だが、2階のそれは、大人用、子ども用それぞれが隅ではなく、中央に近いところに配置されている。
そのうえのサインプレートには"Ask Librarian"である。


今回、公共図書館はいくつか見学したが、これほどに工夫がされ、活気のあった図書館はこれまでなかった。予算もそれほど苦しい状況ではないようで、そうしたことも手伝ってか、スタッフは忙しさを楽しんでいる様子がうかがえた。

ちなみに、1階入り口ではザックを8ドルで売っていた。これは買い損ねてしまった(;;)


4時過ぎに宿舎に戻ってくる。一休みして夕食をとり、アサイメントに取り組む。
とはいってもなにをネタにしてよいのか頭がまとまらない。

気を紛らわすためにメールチェックなどいろいろやりながらモタモタしていると時間だけが過ぎていく。
自分が今事務局をやっている地域の大学図書館協議会に関するイベントを企画できたらそれも面白いか、と思いつつも、IFLAの条件を満たすようなものではなさそう、ということで断念する。

結局、スーザンがアドバイスしてくれたように、このたびの地震と、それに図書館がどうかかわるかというような観点で概略を書き、その他必要なことがらを記入して、スーザンたちに送った。

ちなみに、ばらしておいたほうがいいと思うが、私は特に、今回英語でメッセージを送らなくてはならないときには、ほとんどグーグルの翻訳サービスを活用して英作文をしている。
もともと英作文は読み話すこと以上に苦手だっただが、これがあるおかげでずいぶんと助かっている。ただし、使ったことにある人はお分かりだと思うが、日本語がそれなりに英語化しやすいようになっていないと、まったく意味の異なる、あるいはとれない英語になってしまうのでご注意を。

そんなこんなでともかくアサイメントは終わった。

明日は午前中がセッションだが、そのあとはまた訪問見学に出る。さらには明後日からは泊りがけの見学旅行が始まる。

モーテンソンだより(その18: - 6/13)

6月13日(月)

スケジュール表による今日の予定

  • 9:00 - 12:00 pm / Grant Writing Workshop
  • 12:00 - 1:15 pm / Lunch at Illini Tower
  • 1:00 - 2:30 pm / Hathi Trust: Digital Libraries and Cooperation
  • 2:30 - 4:00 pm / Presentation Preparation

今日の午前中のプログラムは、Grant、すなわち外部資金を取ってくるための、ドキュメントの書き方を中心とした実践的トレーニングである。なにしろIFLAなど、資金援助団体から公表されている正式の公募にエントリーすることがこの研修の課題として義務付けられている(採択されることはないと考えていい、ということではあるようだが)。そうした仮想の場を超えたリアルな世界のなかでのトレーニングということで、かなりしんどいことになりそうだ。実際には、この研修が終わって、夏も終わった9月が応募(計画の提出)の〆切なので、帰ってから夏休みを使って(あっ、でも私の今年の夏休みはこの研修参加にあてることになっているのでないのだった)考えなくてはならないのだろう。とりあえず明日の夜までに、どういった計画で外部資金を取ろうとするのか、その概略をスーザンに報告することが求められている。
スーザンのレクチャは具体的で参考になることが多かった。日本でも国立大学の人たちはこうしたことは先輩から教えられているのだろうな、と思いつつも、私学に所属してこうしたトレーニングを受けたことのない身からすると、なんとなくこうすればいいんだろうな、ということがスーザンの指摘によってはっきりとしたことがありがたかった。

午後には研修最終日(21日)に予定されているプレゼンテーションの予行のようなことが行われた。
私自身も震災による図書館の被害といったテーマで報告することになっているので、スーザンから「やってみるか」といわれたので、応じた。
資料はできていたものの、スピーチについては原稿を作らねばと思っていたところに、それなしでやるということになってしまったので、しどろもどろなプレゼンとなってしまった。しかし内容、展開についてはスーザンからも問題ないと言ってもらっているので、実際のスピーチをどうすればうまくできるか、そのための読み上げ(に近い)原稿は作らなくてはと思った。
話が飛ぶが、このセッションの最後に、スーザンから、プレゼンテーションのうまいやりかた、みたいなビデオを渡された(内容を観ていたら、これは図書館のプレゼンが主題だということに気付いた。米国ではこんなものまでがあるのだ)。みんなでこれを観て勉強しなさい、ということだったのだろう。夜8時、5階(参加者が止まっているフロア)のラウンジでみんなで観た。これを観て眠くなった人間も多数いたが、参考になったことは間違いないだろう。

話は戻るが、夕食が終ってから6時半ころ、ミヤンとヒエイジンが大学構内にある日本家屋を見に行かないかと誘ってくれた。夜8時まで暗くならないのだから、散歩がてらに行っても十分な時間がある。
この日本家屋について、そうしたものがあるということは聞いており、滞在中に観ておきたいと思っていたものだ。

この日本家屋についてはイリノイ大学のサイトでも紹介されている。
http://japanhouse.art.uiuc.edu/en/

15分くらいで行けるところで、夕方、ジョギングをする学生やら自転車で移動する学生と行き違いながら目的地に着いた。

確かに日本家屋である。細かなことはウェブに書かれているので割愛するが、気候も日本と異なるところにこうした建築物があるということにいささか感慨深い思いが込み上げてきた。

モーテンソンだより(その17: 6/12 - 休日編2)

6月12日(日)

スケジュール表による今日の予定

Free Day (^^)v

週末“連休”の二日目だ。
日本でも週末連休というのはあるのだけど、どちらか(あるいは両方)なにか予定が入って、自分の思い通りに使える週末の連続二日というのはなかなか記憶にない。

今日の午前中はミヤンの提案で「禅」道場に行った。

道場それ自体はある程度の距離はあるものの歩いていける距離だった。9時に宿舎1階のロビーでミヤンとスパスカと3人で待ち合わせることになっていたのだが、誰も来ない。10分ほど遅れてミヤンがやってくる。なんでもアフリカグループから、プレゼンテーション資料を作るにあたっていろいろ相談を持ちかけられたらしく、それで出るのが遅れたらしい。またスパスカは先に出て、宿舎から5分ほどのところにあるスターバックスでコーヒーを飲んでいるのでそこで合流することになっているという。
しかし、そこに行ってもスパスカはいない。探しに宿のほうに歩いて戻っていくとスパスカは歩いてきた。寒いので上着を取りに行ったので出るのが遅くなったという。
そんなこんなで出るのがずいぶんと遅れてしまった。昨日の夜地図で道順は確認してあったので、ほぼ順調に道場を探し当てる。

しかし出がけに時間がかかったことがアダとなって、道場での禅の開始時刻に遅れてしまい、しばらく待たされることになった。そのうちスパスカは、理由はわからないが帰ると言い出して先に帰ってしまった。残ったミヤンと私は、少し待った後道場に入れてもらうことができたので、そこで座禅を組んだ。私としては座禅というのは初めての経験である。

なんで座禅の初体験が米国?

ミヤンは国にいるときからこうしたところへ通っているらしい。彼女は仏教徒で、仏教徒であることは禅をすることとイコールらしいのだ。
私は帰り道で、日本の仏教では禅宗はむしろマイナーで、念仏宗のほうが多数派であることを説明した。そういうものか、と、まあ状況はある程度理解してくれたようだ。

今日は禅が終わったら、その近くにあるシャンペーンの公共図書館を見学することにもなっていた。日曜日は13:00から18:00までの開館である。

道場からあまりに近いので、12時には着いてしまった。1時間待たなくてはならない。昼時でおなかもすいてきたので、近くの中華料理店に入った。入ってから気づいたのだが、そこはシャンペーンに着いた初日(5月28日)、野口さんに連れてきてもらった中華レストランだった。

そこで牛肉を炒めたもの("TERIYAKI"とメニューにはあった)とエビチャーハンを頼む。どちらもスモールサイズ(SM)を頼んだのだがやはり量は多い。"TERIYAKI"についてきたライスを多少残した以外はなんとか食べた。

レストランを出た時、ちょうど開館間際になったので図書館に戻った。
開館待ちの人が入り口前で多数待っている。

この図書館は2008年に開館したようだ。とってもきれいで、ガラスを多用した明るい建物だ。

入ってから、館内の写真をとりまくる。日本だとずいぶんと遠慮してしまうが、利用者を写さないということを守れば(これは日本も同様である場合が多い)、けっこう自由に撮らせてくれる。

どうしてもサインが気になる自分に、"ASK HERE"というサインが目に飛び込んできた。この図書館、2階の中央に、いわゆるレファレンスを中心としたサービスポイントを設置しており、そこのサインがこれなのである。


当館の「資料相談カウンター」という名称も、「参考調査」とか「レファレンス」といった、一般の日本人には何のことだかわからない用語を使うよりは数段よいとこれまで思ってきたのだが、これはその上手を行くと思った。
ちなみに、日本の図書館で“カウンター”といっているところを米国ではそうは言わず、おおむね“サービスデスク”と言っているようだ。昔、司書資格を取るために講習に通っているころ、ある講師が、「“カウンター”という名称はサービス機関としてはふさわしい名称ではない」といっていたことを実はずっと覚えていたのだが、それを目の当たりにしてしまった。たかが名前などとは考えたくない。名は体を表すからである。こうしたところからサービスの基本を考えていきたいと改めて思った。

利用者へのちょっとした気遣いから、資料のディスプレイに至るまで、いろいろ工夫が凝らしてあって面白い。

ちなみに米国図書館での"READ"ポスターは定番である。アメリカ図書館協会(ALA)が毎年のように著名人をモデルにして作成しているポスターだ。
私は私立大学図書館協会東地区部会研究部の企画広報研究分科会に参加していた際、仁上幸治さん(当時早稲田大学図書館、現在は帝京大学)にこうしたあたりのことをいろいろ教えてもらい、大変勉強になった。ALAの図書館界牽引車としての力強さを再確認できたように思った。

また空調も床から冷気が上がってくるタイプのものを使用していた(日本でもどこかの図書館がこの方式を採用していたはずだが、どこだか思い出せなかった。)

この図書館の地下には、不要となった資料を廉価完売する場所があった。それらを売って図書館の財源とするためである。日本の図書館でもこうした取り組みをするところは増えていると聞いているが、常設の販売場所があるというところはどれくらいあるだろう?

このスペースではトートバックも売っていた。なかなかおしゃれなデザインだと思う。
この時代、ブランディングはとっても重要なんだと改めて思う。


帰ってきたのは15時くらいだった。途中、CountyMarketによって日用品をいくつか買った。
ミヤンはふだんほとんど歩くことがないといっていた、。今日はけっこう長い距離を歩いて戻ってきたので、なんだかヘトヘトだったみたいだ。

それから少し昼寝。起きてから地下のジムで軽くトレーニングをし、シャワーを浴び、夕食を作って食べた。
夕食を作る直前、部屋に電話があり、外で夕食を食べないか、と誘ってもらったが、せっかくだけどと断った。こうしたところは自分のペースを維持したい。

明日から研修が再開する。

プレゼンテーション資料については、スーザンが添削してくれたものを再度確認し、自分がこうしたいということを反映させ、スーザンに送りコメントを求めた。これは明日、何か指摘をしてくれるだろう。

モーテンソンでの研修はあと1週間強。
終わりが少しずつ見えてきた。

モーテンソンだより(その16: 6/11 - 休日編2)

6月11日(土)

予定表による今日の予定

Free Day (^^)/


何にも研修は組み込まれていない1日。のんびりできそうだ。
7時ころ起きだし、簡単な朝食を作って手早く済ませる。

部屋の掃除というのは基本的にはない。ただしタオルなどの交換とごみ出しは2日に一回程度してくれる。
なので、生活のなかで自分で意識してやらなくてはならないのは洗濯だ。
前回は乾燥機が壊れていたのか、ぜんぜん乾燥させることができなかったのだけど、今日はうまくいった。洗濯と乾燥で約1時間半。

何をしようということはなかったのだが、ウォルマートには一度行って、どんなものかを見てみたかったので、10時過ぎころ出かけた。バスはMTD(Mass Transit District)というものが大学構内(というには広すぎるけど)からアーバナ、シャンペーンを縦横に走っている。私たちはバストークンをある程度センターから渡されているので、1回乗るのにそれを1枚使えばいいことになっている。通常だと1ドル、ただし学生はほとんどパスをもっているようだ。

さて、MTDにはいくつかのルートがあり、ウォルマートに行くにはガイドブックにあるイエローライン(経路が黄色で示されているのでこう呼ぶみたいだ)のバスに乗って行けばいい。そこまでは分かっていたものの、ところがどこから乗ればいいのか分からない。これまでバスには先週の土曜日、朝市に行ったときに乗っただけで、しかも人のあとにただついて行っただけなので、要するにほとんど自分で考えてなかったものだから、バス停を探すのにえらく時間がかかってしまった。おまけに大学は休み中ということでそこかしこで工事をしており(建物はもとより道路まで!)、通常のルートが変更されているらしい表示も見たりして、いっそう停留所を探し出すのに時間がかかってしまった。


結局バス停を探すまでに約1時間(けっこう見当違いの方向にも歩いてしまったらしい。方向音痴の自分にはよくあることだけど)、そこでバスを待つこと約30分ということで、ウォルーマートに向かったのは11時半近くになってしまった。

ここでなんだかよくわからない事態に出くわす。
バスに乗る際にバストークンを入れようとしたのだが、運転手はそれは入れるな、という。

?????

無料で乗せてくれるのか? それでもトークンを入れてしまうと運転手は「Oh!」という感じで両手を上げる。走り出してからしばらくして、運転手は何やら紙の切符みたいなものにはさみを入れ、それを手渡してくる。あとで書かれていることをゆっくり見ていると少しわかってきたのだが、乗り換えの人間は乗り換えた際にはあらためて料金を払う必要はない、どうもそんなことが書かれている。
どうやら私は乗り換えをした客と思われてしまったようなのだ。でもなんでそんな風に勘違いされたのか分からない。

だいたい、どこでもバスの乗り方、ルールというのは、国内であっても地域地域で異なっていることが少なくなく(私なんぞ、東京に出てきたとき、どこまでいっても同じ料金という路線に乗った時、信じられない思いがした。それまで距離によって料金は異なるものだとばっかり思っていたからだ)、ましてや外国でたいして言葉もわからないところでは(相手は遠慮なくまくしたててくる、親切にきちんと説明してくれてるのはわかるんだけど)、ある程度流れに任せるしかないのだ。総じてこっちがルール違反をしていない限りは悪いようにはならない。

にしても、やれやれである。

それでもともかくウォルマートに着いた。所要時間は30分くらいである。

シャンペーン空港について、バーバラさんの車で宿舎まで送ってもらったとき、道路の左側に見えたでかい店だ。
なにか特殊なものを買おうと思ったわけではなく、まずはどんなところかを見たいということと、必要なものとしては、たくさんもらい続けている資料をセッションごと、講師ごとに仕分けるための封筒と、リング式のノート(ルーズリーフを持って来ていたが、あまり使い勝手が良くない)、それと靴のクリーナーを手に入れようと思っていたのだ。

率直なことを言わせてもらえば、こんなもんか、という感じだった。
店内には、食料品、衣類、電化製品、DIY,カー用品、ガーデニング用品、薬品、化粧品、日常的消耗品、さらにはCDやDVDやゲームソフトも売っている。しかし、品ぞろえに面白さがないのだ。発見がないといってもいい。ひいきをするわけではないが(している?)、お気に入りのCountyMarketのほうが小さいながらも「おっ、こんなものもあるんかい」という感じで店の中をうろうろするのが楽しい。
実は靴のクリーナーもウォルマートにあるだろうと思ったのだが、それはウォルマートにはなく、戻ってきて寄ったCountyMarketにはちゃんとあった(あらかじめ知っていたのだけど)。

Everyday Low Price. けっこうだけど、買い物ってそれだけのもんじゃないでしょ、と思ったりした。

ということではっきり言って期待外れに終わった、それでもいくつか商品は買ってきた。

ウォルマートから大学に戻って来、その足でCountyMarketに寄ってみた。水の在庫が少なくなっていたので補充しようと思ったのと、ウォルマートになかった靴のクリーナを買うためである。いつもと反対側から入ってみようとすると、店の入り口上には"Congratulation! NFI 2011 Store of the Year!"と書かれた掲示物がでかでかと貼ってある。NFIなるものがどういったものかはわからないが、ともかく2011年(ってまだ半ばまでもいってないのだけど)で一番の店、ということなのだろう。ま、それなりの店だから賛成、おめでとう、である。

3時ころ宿舎に戻ってきた。さすがに疲れたので、ソファでうとうとする。
起きて時計を見たら5時半をまわっていた。なんとなく体を動かしておきたかったので、地下のマシン室に行って、15分程度ウェイトトレーニングをする。

それからシャワーを浴び、夕食の支度である。

何度か書いているが、月曜日の朝から金曜日の昼までは宿舎やセッションの会場で食事は提供されるので、その間は自分で心配する必要はない。もっとも最初そのことをはっきりと理解していなかったものだから、1週間だけ朝食は食材を買い込んで自分で作ってしまっていたのだけど。

なので、どれくらい食材を買い込むか、またそれを調理するための調理器具をどれだけ調達するのか、というのはけっこう難しい。他の人たちはどうしているのだろう。自分で作っていると言うと、冗談ではあろうが、食べさせて、とくる。

そうはいっても大したものは作らないし、それほど調理器具を用意しているわけでもない。
野口さんによると以前の人たちが使っていた調理器具がモーテンソンセンターのなかにあるのではないかということだったが、その辺のことはよくわからない。

ちなみに今日の夕食は以下のような感じです。

缶入りのポークビーンズと冷凍のジャーマンポテトをごった煮にしてスライスされているチェダーチーズを手で引きちぎって入れるだけ。スープは軽めのヌードルスープ。
最近はご無沙汰だけど、けっこう山歩きをやってきているので、その辺のノウハウが生きているメニューだ。
日本人の自分にとっては、このくらいの量が適当だと思っている。iPadで日本のニュースを見ながら飲み食べる。


さて、食事していると部屋の電話が鳴った。韓国のミヤンからである。

昨日約束していた件について打ち合わせをしたいという。20時10分に5階のラウンジに、ということになった。

明日行くのは「禅」の道場である。ミヤンと、ブルガリアのスパスカも行くようなので、3人で地図を確認したのだが、歩いて行けそうな距離だということが分かった。

http://www.prairiezen.org/pzcdflt.html

ミヤンはみずからを仏教徒(Buddhist)といい、それが彼女の場合はイコール禅のようなのだ。
かくいう自分も仏教徒に分類はされるのだろうけど、現代日本人の多くと同じように、宗教についてそれほど深く考えたことはない(今のところ)。

明日の朝9時に1階のロビーに集合である。
「修行」が終わった後、シャンぺーンの公共図書館を見に行こうという話もしてある。午後早い時間に帰ってこれるだろうか。

今日はこれから、読みかけの本を読んで、そのまま眠ろうと思う。

モーテンソンだより(その15: 6/10)

6月10日(金)

スケジュール表による今日の予定

  • 9:00 - 12:00 pm / Communicating Your Massage
  • 12:00 - 1:00 pm / Lunch privided at ACES
  • 1:00 - 4:00 pm / Change Management

今日も昨日に引き続きシンプルなメニューである。講師は昨日と同じShirley Stelbrinkという女性である。彼女が出してくる資料には"Learning Alliances Company, LLC"という社名が入ったものが多いので、モーテンソンセンターからの依頼によって研修プログラムを受託しているのだろう。
なにせこのShirleyさん、予定表だけで見れば、昨日は午前午後で6時間、今日も6時間、それを一人で担当するのである。しかもただ講義をするだけではなく、エネルギッシュに語りかけ、"Any Question?"と質問を要求し、合間にジョークを入れ、受講者が体験的にコミュニケーション改善の方法を理解できるよう、簡単なゲームの準備を休憩の合間にしたりと、ともかくすごいのである。

今日のセッションのテーマはよりよいコミュニケーションを実現するためには?、というようなことだった。
指摘される事柄は、たぶん日本の企業でこうしたテーマでやればこんなことが言われるのだろうな、というところではあるが、米国的だなと思ったのは、上にも書いたが、ゲームをさせることで、何が大切か、ということを体験的に分からせるということをしていることである(もっとも、これとて、日本でもやるところはやっているのかもしれない)。
ともかく、飽きさせず、セッションの最初に"Today's Goals"を明確にし、さらに"Today's Rules"として、講師のやること、受講者のやることをも明確にしたうえで、内容に入っていく。体験型の研修を組み立てるという視点で見ると、ずいぶんと参考になることがあったように思う。
セッション自体は、予定の時間よりも少し早めに終了した。

さて、下の写真はその合間の昼食の風景である。
朝は寒くて長袖のシャツを着て出たのだが、昼前ころから気温が上がったようで、ランチタイムは外で食べるに絶好の陽気だった。通常は宿舎に戻って食堂でとるのだが、昨日今日は会場にランチボックスとミネラルウォーターが運ばれてきて(日本風にいえば、弁当とお茶、だ)、それを食べるのであるが、今日はそんな天気でもあり、建物(例の農学図書館)の1階が会場だったので、その部屋のドアを開けて外に出て、そこで食べたのである。外は一面芝生で、そこにめいめい好きな場所をとって、何人かはまとまって食事をとる。写真は私が加わっていたグループを撮ったものだ。

ああ、アメリカの大学だな、とここでも変に関心をする。

自分のいる大学でも学生は昼時に地面に座って食事をする。しかしこれは芝生の上ではなくアスファルトの上である。学食の席数が足りないからにほかならず、なにも好き好んでやっているのではないであろう。同じ地面に座る、ということであっても芝生とアスファルトはえらい違いだ。

気温が上がったものの、乾いた空気のもとでのランチは気分がよかった。

さて、セッションは予定よりも早く終わった。
副所長のスーザンがセッションの場に来ており、これからのことについて確認を含めて話をしてくれた。
なにより、研修が2週間終わったところなので、最も疲れているころだと思うので、十分な休養をとり、気分転換を図るように、ということを強調していた。なぜか買い物での気分転換を勧め、何を買うにはあそこがいいとか、講師のShirleyとともに、いろんな店の名前を挙げてくれた。私以外は女性なので、こんな話題になると異様に盛り上がる。靴を買うにはどこがいいとか、香水ならどこ?、みたいな話でみんなの顔が生き生きしてくる。
たぶん、何人かはすでに今日のうちに買い物に出かけたのであろう。
私は、日曜日に、どこの店に行くのか分からないが、何人かといっしょに出かける約束をした。

宿舎へ戻る途中、イリノイ大学の図書館(メインライブラリー)に初めて入ってみた。オフィシャルな見学ツアーが組み込まれていないのも不思議なのだが(スーザンは組み込み忘れたみたいなことを言っていたかもしれない)、確認したところ、自由に出入りしていいということだったので、ふらっと入ってみた。

先日見学に行ったEastern Illinois Universityの図書館とは違い、建物そのものに伝統を感じる図書館である。
となると現代の図書館に求められる機能を実現するために結構苦労することになるのだと思うが、検索システムを触ってみると、一つのキーワードを入れて検索をかけるだけで、電子ジャーナルから図書まであらゆる資料が検索できるという仕掛けを実現しているのはさすがであった。ディスカバリー・サービスを実装しているのか、後日確認してみようと思う。

写真を撮ってよいものやら、どうしたものかと迷っていたのだが、まあいいや、やってしまえ、ということで何枚かの写真を撮った。


飲食物持ち込みに関する閲覧席上にあるサインは学部生用図書館でも見たが、ここでも見つけたので、参考のためにそれも撮影する。我ながらしつこいな、と思う。

宿舎に帰って一息ついてから買い物に出る。週末(金曜の夕食から)は宿舎の食堂が休みになるので、自分で食事を調達しなくてはならない。外食は量がはばかられるのでどうも気が引ける。また朝食はいずれにせよ自分で作るしかない。
いつものように(?)、歩いて10分ほどのCounty Marketに行く。というか歩いて行けるスーパーはたぶんそこしかない。受講生仲間には、NoriはCountyMarketが好きだ、ということにしてある。

今回、準備があわただしかったこともあり、忘れ物が多かった。そのひとつが爪切りであった。通常の海外旅行であれば、せいぜい2週間くらいなのでさして気にならないのだが、1か月となると話は違う。パソコンのキーボードを叩いていると、伸びた爪はとってもわずらわしく感じられる。

これまでもCountyMarketにあるはずだと思って行くたびに探していたのだが、前回(2回目)までは見つけることができなかった。今日は時間も十分あったので、店の隅から隅までを探していたら、ほんとうに隅のほうに、他の商品に隠れるようにして爪切りが売っていた。うれしくなって、横にかかっていたやすりまでもつい買ってしまった。
また、同じところにソーイングセットも見つけた。なにも裁縫をするから必要なのではなくて、足にできた豆をつぶすためにいつも使うのである。これも忘れてきていた。実際、こちらについて間もないころ、足が豆だらけになりかなりつらい状態が続いていた。豆をつぶさなくてはいけないのだが、手持ちのものでそうしたことができるものがなく、あれこれ考えた末に、たまたま持ってきていたペーパークリップでつぶしていた。とがっていないのでけっこうしんどかった。針なら「スッ」という感じだが、クリップだと「グサッ」である。
もう大丈夫なのだが、そうしたらちゃんと売っているのを発見してしまった。

世の中はこんなものだ、と思う。

イリノイの滞在はあと10日程度だし、その間、シカゴやオハイオへの泊りがけの旅行も予定されているので、食材をそれほど買ってもしょうがない。自分の部屋にある分にあとどれくらい足せばいいかを考えながら、かごに食材を放り込む。

5時ころ宿舎に戻って来、時間があったので地下のフィットネスジムでトレーニングをする。筋肉に負荷をかけると妙に生き生きとした感覚が戻ってくる。

昨晩のうちに課題はすべて提出してあったので、今日はとりあえず何もする必要がない。提出してあったもの(プレゼンテーション用資料)については、昼間、スーザンがコメント付きで戻してくれた。内容的にはよいが、英語を何箇所か修正したほうがいいというアドバイスだった。これはこの週末にちょっとの時間をかければ済むだろう。

食事を済ませると、久々本を読む時間ができた。と思ったが、ソファに横になるとついウトウトである。
でも、気楽にウトウトできるのも週末ならではだ。

気が付いたら、外は久々雷雨だった。

モーテンソンだより(その14: 6/9)

6月9日(木)

スケジュール表による今日の予定

  • 9:00 - 12:00 pm / DISC Assessment
  • 12:00 - 1:00 pm / Lunch provided at ACES
  • 1:00 - 4:00 pm / Using DISC for Management

今日の研修メニューはシンプルだ。しかし、その分だけ内容的には深く、受講する者してはきついものがあった。

"DISC Assessment"とは、いってみれば性格や適性などを総合的に分析する「テスト」のようなものである。Wikipedia(英語版)には解説が掲載されている。
http://wpedia.goo.ne.jp/enwiki/DISC_assessment

テストそのものは28問からなり、いずれも、4つの言葉の中から自分にとって最も適切なものと最も適切でないものを選ぶ(つまり4つのうち2つを選ぶ)ということを繰り返すだけである。

たとえば、13問目には以下の4つの言葉が並んでいる。

conpetitive
considerate
joyful
private

ここから上記の要領で2つを選ぶのである。

前(6月7日)にも書いたが、私ともう一人中国から参加している受講者は英語力に不安があり、きちんとした結果がでないであろうという配慮から、それぞれの母語でオンラインの対話型テストをあらかじめ受けさせてもらっていた。(7日には「25問」と書いたが、今日の英語版では28問だった。たぶん記憶違いだと思う)

今日はそれ以外の人たちが初めて取り組むわけだが、私も英語版を使ってやってみた。面白いもので、日本語版でやったものと結果(とそこから導かれる分析結果)ほとんど変わらなかった。それだけ英語も理解できているということか?

さて、DISCとは、D: Dominance, I: Influence, S: Steadiness, C: Conscientiousnessのアクロニムである。それぞれ日本語訳を当てても誤解のもとになるような気がするが、今日もらった日本語版の分析結果では、それぞれ「主導」「感化」「安定」「慎重」という語が当てられていた。

説明しているときりがないのでやめるが、私の結果としては、“C”がもっとも高いスコアとして出た。(しかし、分析はでは“お前はCの性格だ”ということではなく、他のD、I、Sの要素も含め、総合的に分析・評価される。

分析結果を一読し、評価されていることはいちいちあたっていると思えた。仕事をするうえで生かすべき長所、気をつけるべき短所といったことが具体的に記載されている。今後、参考にしていけるデータとなるだろう。

しかし今日のメニューはここからが大変であった。受講者それぞれのタイプが出たので、それぞれに集まって、自分たちが他の特性を持った人たちに対して指摘できること、逆に自分たちがそうした人たちとコミュニケーションするうえで何が必要かといったことについて短い時間でのディスカッションを行い、それをみんなの前で発表といった課題を課せられた。

さらに、ここからは昼食のあとの最も眠くなる時間に差し掛かってただでも集中力が切れそうな時間帯にもかかわらず、いきなり"People Reading Guide"なるプリントが配られ、なにやらチェックをせよと講師が指示を出してきた。この辺になるとったい何をやっているのかすら分からなくなってきていた。

いいわけめくような話になるが、コミュニケーションとか仕事の進め方の改善といったことが話題になるとき、日本人である自分がその議論にうまく参加できないのは、もちろん語学力不足によるところが少なくないのだが、それとは別に、仕事の進め方とかルールの相違といった点が背景にあって、余計に議論がしずらくなっている部分があるのではないかと感じている。チームワークが大事とか、相手の話をよく聞こうとか、出される意見は日本とさして違うわけではないのだが、議論のプロセスで、どこにそうした意見を反映させるのが適切なのか(議論の過程で、どのタイミングでそのことを自分が言うのが適切なのか)、ということの感覚がまだよく掴めない。たぶん、この研修が終わっても掴めないのではないか思っている。

しかし、セッション自体は活気に満ちている。
昨日から加わったアフリカからの受講者の一人はとってもパワフルで、場の雰囲気を盛り上げる。すでに始まってから2週間近くが経過しているので、互いの性格もわかってきており、ジョークも飛び交う。講師も楽しくセッションを進めようそれを煽る。全体として雰囲気はとってもよいのだけど、ともかく今日は眠さにかなわなかった。

明日もこの続きである。宿題がいくつも出され、やれやれ、という感じでセッションが終了した。
やれやれではあったが、DISC Assessmentは面白い。

宿題以外にも、スーザンからは来週月曜日の補助金獲得のためのライティングのセッションに関する指示と、21日(研修最終日)に本番があるプレゼンテーションの資料を(予備的な意味で)明日10日までに提出せよという指示が来ていたので、帰ってからはずっとそれをこなしていた。また、アマンダからは、研修終了後、それぞれの所属組織宛てに"Letter"を送るのでその宛先人を二人まで知らせてくるよう依頼があった。その締め切りも明日だ。
いつもギリギリにならないと動き出さないのが自分の性格なのだが、何かを忘れてしまうとあとあと面倒なので、ともかく〆切より1日早く、やるべきことを終了させた(はず?)。

今日はめずらしく夜風が冷たい。

モーテンソンだより(その13: 6/8)

6月8日(水)

スケジュール表による今日の予定

  • 8:00 am / Meeting at Illini Tower for departure
  • 8:00 - 9:00 am / Trip to Arthur, Illinois
  • 9:00 - 10:00 am / Tour Arthur Public Library
  • 10:30 - 1:00 pm / Tour of Amish Country
  • 1:30 - 3:30 pm / Shopping at Tuscola outlet Mall
  • 3:30 pm / Trip back to Champaign

昨日に引き続き、外に出て図書館の見学である。
移動用の車は三度替わり、やっと?普通のワゴン車になった。運転手はいつものJBである。

地図をちゃんと見ればいいのだろうけど、そうしたことをしていないので、見学先の図書館がどの辺にあるかぜんぜんわからない。これはあとでまとめて調べるしかない。次々に出される課題の消化にけっこう手間取っており、最初に感じていた時間的余裕はだんだん無くなってきている。

1時間ほど走り、Arthur Public Libraryに到着する。やはり風景は北海道の十勝とかあっちのほうと比較してしまう。フラットで、地平線がずっと続くのだ。

ここは小じんまりした図書館だった。日本でいえば、公共図書館の分館くらいの広さなのかもしれない。でもずいぶんと伝統はあるようだ。入口にかかっていた「看板」がそれを偲ばせる。

このあと、30分ほど車を走らせてAmishという人々(といえばいいのか)が住む地区に向かい、その生活の様子を見学し、彼らの食事を食べるという経験をした。

このアーミッシュというのはまったく知らなかったのだけど、18世紀前半にヨーロッパから移住してきたプロテスタント系の人たちで、ペンシルバニア州を中心に住んでいるという。物質文明に完全に背を向け、入植当時の生活様式を保持している。自動車、電気器具、電話などを一切使用せず、独自のコミュニティをつくり、おもに農業に従事し、子どもの教育も独自に行う、とある(ブリタニカ国際大百科事典より)。

まずお邪魔したところでその生活様式を実際に見せてもらい説明を受けた。たしかに電気はなく、洗濯なども独特の方法でやっていることがわかる。写真を撮られることを嫌うので遠慮するようにとあらかじめ言われていたので撮ってはいないが、女性は独特な服装をし「帽子」をかぶっている。
次にお邪魔したところで昼食をいただいた。パン、バターは自家製(ほんとうにおいしかった)、ミンチ・ボール、チキン、コールスロー、マッシュポテトなどが次々と出され(これもほとんどが自家製かそれに近いものなのだろう)、デザートにはストロベリーとブルーベリー(だと思う)のパイが出された。

確かにアメリカ大陸での白人の歴史はヨーロッパでの宗教的な対立が原因となって始まっている。いろいろな宗派が大西洋を渡ってきているだろうし、そのなかのある宗派がこのように教義(なのだろう)を守り、変わらぬ生活を続けているというのは米国らしい。日本では考えられないことだ。
ふところの深さ、というべきか。

さて、このあと、今日はなぜかアウトレットモールでのショッピングが組み込まれていた。
http://www.tangeroutlet.com/tuscola

日本のショッピングモールとそれほど変わるものではない。不況のせいもあってか、いくつかの店は次の店が入るのか、クローズされていた。
1時半から2時間!、ということで各自好き好きに店を回る。
自分としてはスーパーのほうが歩いていて面白いのだけど、まあしょうがないし、急に暑くなってきたことで、半そでのシャツを買い足しておきたかった。ポロ一枚と、イリノイ大学に敬意を表してロゴ入りのTシャツを、それとはきやすそうでデザインもよい靴を1足買った。


宿舎に帰ってきて、夕食後は3度目となる、学術図書館グループのプレゼンテーションの打ち合わせである。
昨日到着したアフリカからの2人がどちらも学術図書館所属ということで、彼女たちの事情をプレゼンに反映しなくてはならず、6時から1時間ほど打ち合わせをした。
国の事情が違い、図書館の状況も違う。ガーナはオンライン目録もないという話が出て、それではどうプレゼンを取りまとめるか、ということで議論になった。資料作成担当としてハードワークをこなした韓国のミヤンはほんとうに大変だっただろうと思う。さすが彼女らしく、今日のディスカッションを反映させたものがメールで送られてきた。各国のアドバンスな事例を紹介するスクリーンショットを貼りこめばいいのだが、あと1カ国分を待つところまできた。あと一息である。
それにしても、この学術図書館グループは、ヨーロッパ1(ブルガリア)、アジア3(日本、韓国、中国)、アフリカ3(ウガンダ、ガーナ、ナイジェリア)という多国籍軍である。韓国はスマートフォンに利用者がその大学のサービスを使うためのID(二次元バーコード)をダウンロードするというモバイルサービスをしているらしく、興味深く聞いた。


私のほうはそれと並行して、日本の大震災と図書館のプレゼン資料と、自分の図書館の紹介をする資料をパワポで作成していた。学術図書館グループの打ち合わせはその合間である。
職場の同僚から送ってもらった資料などを使って、とりあえず形になった。これを明日スーザンに送って、コメントをもらって最後の仕上げをするということになるだろう。