ニューオーリンズ: 6/24-25

6月24日(金)

ALA Annual Conferenceの実質的な開会日、会場はホテルから歩いたら10から15分くらいかかるところにある"Morial Convention Center"である。

日本のこの手の「開会式」にあたるOpening sessionは4時から。その前に初参加者のための、またそれとは別に外国からの参加者のためのオリエンテーションが設定されていたので、それに間に合えばいいと思い、昼過ぎにレジストレーション・カウンターで手続きを行った。
会場は昨日のうちに外観だけは確認をしてあったが、ともかく大きい。東京ビッグサイトなんか目ではない、というほど、巨大なコンベンションセンターである。

会場に行ったら、モーテンソン・センターの研修でいっしょだった、エジプトのラシャとヘバに会った。やあやあ、という感じである。研修参加者の何人かはこのカンファレンスに参加することになっていた。

Registrationを済ませるとプログラムや関連資料とそれを入れるバッグを手渡された。
プログラムの厚さは2センチほど、なかには予定されているプログラムがびっしり書き込まれている。何件あるか数えようかとも思ったが、どれくらい時間がかかるか分からないのでやめた。

オライリーの本みたいな感じだ。

1時からNMRT(New Members Round Table)という初参加者対象のオリエンテーションがあったので、それに顔を出してみた。ちなみに大会プログラムの中には、このNMRTのようにアクロニムが頻出する。そのインデックスさえプログラムに掲載されているほどだ。

このオリエンテーションは、ALAのメンバー向けという感じの案内だったが、やっぱりそうだった。私自身、10数年前ALAのメンバーであったことがあるが、現在はそうではないので、話がとりわけ関係するわけではなかった。早々に引き揚げようと思ったのだが、司会と参加者の間でこんなやり取りがされたという1点は書き留めておきたい。

それは、司会が、このなかで、今よりいい仕事を得たいと思っている人はどれくらいいるか(という趣旨だったと思う)という質問に対し、半分くらいの参加者が"Yes"と手を挙げたことだ。

こちらに来る前に、このカンファレンスは、職探しのために参加する人も少なくない、ということを聞いていた。その一面を目の当たりにしたわけだ。
実際、会場には"JobLIST Placement Center"というのが設けられており、図書館への就職相談やキャリア形成に関するカウンセリングなどのサービスが行われるという。ここで開催されるワークショップにはたとえば、"How to successhful When Searching for Academic Library Positions - An Insider Perspective"などというものがあるようだ。



"Build your Personal Brand"はいかにもこの国らしい。

また、セッションにも"The Job Hunt: What to do While You Wait"とそのものズバリのものがあった。

カンファレンスの案内にも、ともかく名刺(Business Card)をもって、人とのつながりを作るように、というアドバイスがある。

ここの人たちは、就職してしまえばそれで終わりではない。もちろん米国にもいろんな人はいるように見受けられた。しかし、本気でやっている人間たちは貪欲だ。自ら努力し、それを支えてくれる人的ネットワークを作り(旧交を温める風景をそこかしこで見かけた)、また組織を使いながら自分の歩みを進めていこうとしている。

それを目の当たりにした。

2時半からは、"International Librarians Orientation"というものが設定されていた。私のように米国以外から参加する人間を対象としたオリエンテーションである。

ここに行くと、バーバラとスーザンに会うことができた。二人とも飛行機が欠航したことを心配してくれた。またカンファレンスを楽しんで、とも。わたしはこの日はイリノイ大学のロゴの入ったTシャツを着ていた(記念にと思ってシャンペーン滞在中に買っておいた)。この日に着ていたことにさしたる理由はないのだが、バーバラはそれを指して"Great!"と言ってくれた。

会場は、丸テーブルに各12,3人程度が座るようになっており、そのテーブルが12-3くらいあっただろか。単純計算すると、参加者は120-130人程度だっただろうか。テーブルには、メンターとして米国の図書館関係者が座っていた。ジェイミーもメンターを務めているようだ。

オリエンテーションは和気あいあいとしたものだった。主催者側のホスピタリティが伝わってくる。大会の概要、注意点、ニューオーリンズの街の情報(公共図書館大学図書館についての情報も)などが、パワーポイントを使いながら要領よく説明される。私としては視覚情報があるのがありがたい。

オリエンテーションの最後は抽選会だった。スポンサー企業から、アマゾンの金券や、グッズなど、テーブルごとにそれぞれ50ドル相当の賞品を用意しているという。テーブルごとの賞品と提供企業名がスクリーンに映し出される。
やり方は、テーブルごとに司会がくじを引き、それに当たった参加者が賞品を手に入れることができる。
私は"Table3, Seat9"に座っていた。
1番目のテーブルから順々に始まり、当選者が決まる。「どこから来たか?」との質問が司会から出され、それぞれが答える。
私たちの番になった。私はこの手のくじ運は決定的に悪いと思っているのであたるなんて思いもしていなかった。しかし司会がコールしたのは"Table3, Seat9"だったのだ。「えっ?」という感じである。

賞品はワイリー提供の、アマゾンの金券だった。
これはオリエンテーション終了後、自分でワイリーのブースに行って交換することになる。
当選者は前に呼び出され、写真を撮ることになった。なんだかすごい感じだ。

そこで配られた資料の中に外国からの参加者の名簿があった。"Japan"のところを見ると、私以外に2名が参加していた。そのうちの一人は知り合いだった。

4時からはオープニング・セッションである。
時間に少し遅れて会場に入っていくと、すでに白いスーツを着た女性がスピーチを始めていた。あとで確認したことだが、この人がALAのPresident, Roberta Stevens氏だった。

このセレモニー、その参加者の数に圧倒された。どれくらいか、うまく伝えられないのだが、1,000人とかそんなレベルではなかったと思う。広い会場がぎっしりと埋まってしまったのである。

そのうえで、ともかく演出がすごい。会場の天井からつられているスクリーンを使い、さまざまな映像が流れる。これが図書館関係者の集まりか?と日本での状況に慣れきっている私にとっては、何よりもその演出のすごさが驚きであった。

それにキーノート・スピーチなどが続き、(私が参加するという意味での)この日のイベントは修了した。
なお、このセッションの最後にテープカットが行われた。たくさんの関連企業、団体等によるエキジビションがこの瞬間に始まった。




日本でなじみの企業名も見られる。

議会図書館(LC)は巨大なトレーラーを運び込んでいた。LCの紹介をするための車のようで、これで各地に移動し、中にある展示で紹介をしているようだ。

会場を歩きまわっていると、日本を含めた世界各地の自然災害に対するDonationを呼び掛けるコーナーが、小さいのだけど、あったのをみつけた。


滞在先のホテルまではシャトルバスが用意されていた。
参加者が泊まっているホテルは市内に点在しているので、いくつかのコースに分かれて運行されている。スポンサーはゲール・センゲージ。
私も初日の帰路以後、これにお世話になることになる。朝もホテル前から会場に向けて運行されているのだ。

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6月25日(土)

セッションへの参加はこの日から。
プログラムの中には数えきれないほどのセッションがあるが、この中から選ばなくてはならない。

なお、ALAのカンファレンスは、参加登録の際に自分が出るセッションを決める必要はない。
日本のこの手のイベントと勝手が違うので、レジストレーションの際、私はこのことが本当に分からなかった。ともかく最初は、基本的な登録と、出たい有料のイベントやプレカンファレンスがあれば、それに登録をする。後は宿泊施設。これも自分で探すのであれば、不要である。
ホテルについては、実際に泊まった際に清算がされるので、それを除いた費用が請求されることになる。クレジットカードにより支払いの手続きをすればそれで終わりである。
# ただし、これはあくまでも今回のレギュレーションで、他の場合はどうなのかはわかりません。

結局、この日は以下のセッション、イベントに参加することにした(カッコ内は会場)。

10:30 - 12:00 am

  • President PRogram: From Idea to Innnovation to Impletation: How teams make it happen (MCC356-357)

1:30 - 3:30 pm

  • Academic Librarian Lightning Round! Innovative New Roles (MCC-AUDITORIUM A)

4:00 - 5:30 pm

  • The Future is Now!: E-books and Their Increasing Impact on Library Services (MCC392)

6:00 - 7:30 pm

  • Now Showing@ALA: The Most Dangerous Man in America: Daniel Ellsberg and the Pentagon Papers(Film) (MCC-AUDITORIUM C)

中身をいちいち紹介するのはこのブログの目的ではないので基本的には触れない。

しかし、この後の状況も含めて概観すると、総じて、マネジメント関係と電子資料関係のセッションへの参加者が多かったように思う(もちろん、私が参加した範囲での印象)。
この日もEブックのセッションには(200人程度の席に)300人が押しかけ、立ち見(というよりは床に座っての参加)が出るほどだった。

感想めいたことをいっておくと、Eブックをめぐる日米の状況はこれほど違うか、という感がした。実際、一般の人がいわゆる電子書籍をどれほど身近に感じているかはわからないのだけど、確かに、KindleiPadを使って何かを読んでいる人をそこかしこで見かけたことからすると、日本よりは普及しているように思われる。隣に座った人からはどこから来たのかと聞かれたので、日本から来たと話すと、日本のEブックについての状況はどうかと聞かれた。電子ジャーナルは一般化したが、Eブックについては、言語や法律の問題などにより十分には普及はしていないと答えた。
スピーカーの説明では、サプライサイド(出版社)との調整が進んだこと、一般の人が電子書籍への理解を増したことにより、この数年で普及はずいぶんと進んだという。

最後のドキュメンタリーフィルムを見てから引き揚げたので、だいぶ遅い時間になってしまった。
それでもシャトルバスが運んでくれるのでありがたい。